★架空メアドで登録できちゃった! Facebookのアカウント認証、ないも同然

架空のメアドでFB登録
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大切な友人(45)が「仕事の関係でどうしてもFacebookを始めなければならない。でもプライバシーなどいろいろ不安なので道案内してもらえませんか?」というので、アカウントを取るところからおつきあいした。

 

彼は「Facebookはスマホのみでやりたい」という言う。
iPhoneを片手に一緒にアカウントを取ることにした。
まず私がログアウト。彼は「Facebook」と検索して登録画面に。
ログアウトして私は首をかしげてしまった。こんな画面(↓左)・・・・

 

iPhoneで新規登録

 

下の方に「別のアカウントでログイン」とある。
はて、『いつからFacebookは複数の個人アカウントを持てるようになったんだ?』
とりあえずこれをクリックすると「登録」画面が現れた(↑中)。
「登録」をクリックすると「アカウント作成」の文字。
空欄にはすでに私の電話番号が・・・・。

 

■Facebookでメアドは「ただの文字列」?!

Facebookは、最近ではケータイ電話番号がアカウントとして使えるようになった。しかし私はこれをおすすめしていない。今のところFacebookの認証は➀ケータイ番号かメール、②パスワード──と2つの関門しかない。その一方をケータイ番号にしたらアカウントを”半公開状態”にしているようなものだから。
それで今回ダミーのアカウントを作るときもメールアドレスを使うことにした。

 

下段の「メールアドレスを使用」をクリック。
どうせダミーのつもりなので「実在しない適当なアドレスを打ち込んだ。「@」の前はでたらめな英数字、後半を「gmail.com」とした。当然、メール認証の段階ではねられるだろう。それで彼に「Facebookの手堅さ」を分かってもらうつもりだった。ところが、どこにも届かないこのメアドがあっさりOKとなった。メール認証すらしないのだ!(他の多くのサイトのアカウントはメアドを入力すると、そのメアドに向けて仮の登録情報が送られ、メールから本登録に至るのだが、Facebookのメールアドレスはただの「文字列」のようなのである)

 

iPhoneで新規登録2

でたらめなメールアドレス、適当な生年月日でもアカウントは作成される

 

思わず彼と顔を見合わせた。不安そうな顔をしている。
本当にこんなユルユルの関門で正式なアカウントが作られるものなのか? がぜん検証したくなり、次のステップに進んだ。
次は氏名の入力。仮名にした。何の問題もない。
次。パスワード。これも適当な文字を打ち込む。(打ち返しが求められないのですごく心配だ。自分の頭と指は違う文字を打つことがあり得るのに、確認のしようがない!)
生年月日、性別を選択したら、アカウントが作成されてしまった。

 

■200のメアド「新城あんな」を思い出した

以前、200以上の同姓同名アカウントを持つ「新城あんな」の記事を書いたことがある。
その時は「新しいメアドを用意すればいくつでもアカウントは作られる」と書いた。
しかし実際問題として、例えばGメールで新しいメアドを取得するのはかなり面倒な作業を要する。『敵ながら根気のいいやつだ』と思っていたのだが、なんのことはない、でたらめなメアドでよいならそんな芸当、朝飯前だ。

※参考 ★この写真を見てくれ! Facebookよ、スパムアカウントの追放が先だ !!

 

結局、不審顔の彼に「Facebookをやるのは自己責任。認証が甘いことを前提につきあっていくしかないんだよ」と愚にもつかない弁明をした。ああ、恥ずかしい。
ソーシャルメディアでの「なりすまし」が時々話題になる。
アカウント乗っ取りはゆゆしき事態を招きかねないが、Facebookのこの甘さでは、(アカウントなぞ乗っ取らなくても)レストラン業界では名の知れた彼の名前と写真を使って”彼本人”を演じ、人をだますのは簡単だ、と正直に説明するほかなかった。

 

■投稿で「公開」にするのは慎重に

「有名人はしょっちゅうそんな目に遭っているんでしょうね」と彼は表情を曇らせた。
「他に注意点はありますか?」
「(注意点は)ヤマほどあるよ」と言いかけてやめた。
ただ、「公開」の意味だけは説明しておいた。

 

Facebookで投稿の共有範囲を「公開」とするか「それ以外(「友達」とか「知り合い」など)」にするのでは天と地ほども違うことを指摘した。
「公開」はほぼ際限なく誰にでも見られる状態になること。Googleなどの検索にもヒットすることになる(設定で変更可能)。
Facebookでアカウントを作成したら、真っ先に見てもらいたいのはこの画面だ。

 

Facebookのプライバシー設定はかなり開放的

Facebookのプライバシー設定はかなり開放的だ

 

「プライバシー設定」を開始するとこの画面になる。
最も重要なのは「今後の投稿の共有範囲」だ。
Facebookのデフォルトは「友達」になっている。2014年5月まではこれが「公開」になっていた。何も知らずにFacebookビギナーが投稿するとほぼ筒抜けになる。
「それはないだろう」と私も何度かこの問題を指摘し、Facebookもようやくそのリスクに気づいたようだ。

 

もう一つ、彼に言った。この画面だ。

投稿欄

投稿欄の「共有範囲」はプライバシー設定と連動している

 

「この共有範囲、君が投稿するときに多くの人に読んでもらいたいと<公開>に変えると、次回の投稿は<公開>のままになるからね」
この意味は、「プライバシー設定」と重々しく書かれているので一度「共有範囲」を設定すれば度の投稿もその設定に従うと思われがちだが、この設定は投稿欄と完全に連携しており、投稿時にこれを切り替えれば簡単に共有範囲は変わってしまう、という意味である。
次回の投稿は「前の投稿で使った共有範囲を引き継ぐ」のでご用心!

 

■メアドは絶対「公開」するな!

その他、Facebookをやる以上、プロフィール画像やカバー写真、そのほか自己紹介する部分はなるべく正直に書いた方がいいと思うが、Facebookのデフォルトはすべて「公開」(↓赤丸)だ。

プロフィールの項目は「公開」

プロフィールの各項目はFacebookの初期設定では「公開」になっている

 

職歴、学歴などはまあ「公開」でもいいかもしれない。
しかし、いくらビジネス上有利になる可能性があるにしても「電話番号」と「メールアドレス」は絶対に「公開」にしないほうがいい。書き込んでも共有範囲を「自分のみ」にしておいた方が無難だ。この2つは個人情報のかなめ(Facebookがアカウントに使うくらいだから)。
私はFacebookで使うメアドはGメールで新規に作り、Facebook以外には使わないようにしている。

 

実名制でありながらFacebookの認証が極めて甘いのは、2004年2月に米ハーバード大学内でFacebookを始めた当時、ザッカーバーグ氏(創設者)は大学が学生・職員に与えていたメールアドレスを認証用に使った名残である。名門大学のメアドは個人を特定する重要情報だったが、今は「メールは個人をなんら証明しない」。日本で完ぺきに個人認証を行うなら「マイナンバー」を使うべきだが、Facebookにはまったくその気がない。

 

「せめてアカウント乗っ取りだけは防がないとね」
私は虚しさをかみしめながら彼に苦笑いして見せた。

 

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ジャーナリスト石川秀樹

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