★新高齢者こそがFacebookの宝! 経験いかして自在にパワー発揮を

パジャマ姿で往来には出ない
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きのう新宿の喫茶店で雑誌のインタビューを受けた。
孫の力」という雑誌。ロハス系の「月刊ソトコト」増刊号の位置づけで隔月刊、現在までに26号を出している。
最新刊は「ロボット」特集。”孫の力”の名前の通り、50,60代以上の新高齢者層をターゲットにしているが、切り口は毎号人を驚かせる斬新さである。

隔月刊雑誌「孫の力」

隔月刊雑誌「孫の力」はユニークな企画が売り物

 

インタビューは「大人のSNS活用術」という連載用。
前回の登場人物は志茂田景樹さんだから『私なんかでいいのかな』と思ったのだが、ライターの高須賀 哲さんがていねいに聴いてくださった。

 

■繊細でツレないやつになるな!

いろいろ話した中で、2つほどつい熱くなって語ってしまったコトがある。
一つはFacebookで”商売ご法度”のように思われている空気についてだ。

 

交流ツールであるFacebookで露骨な売り込みは「場違い」で受けない、というのは至極当然の反応だ。しかし人は何によって生きているのかと言えば、商売、仕事、ビジネスであり、一方余暇の活動などなど。その一番肝心な場面で自分を語ったり、提案・アイデアを求めたり、時には愚痴も言えば自慢もする。そして何かコトを起こそうとするときに応援してほしいと思う、見て聞いてほしいと願うのは当然ではないか。
ところがそんなシーンで、往々にして人はスルーする。知らぬ顔をするのだ。

 

なんとケチくさい!
応援してあげればいいではないか。
例えばバンドを持っている人が今度どこそこで演奏する、聴きに来てと「イベント」を立ち上げ告知する。すると「いいね!」がつかず、いかにも寂しい反応になる。

 

こんな話をしている時に高須賀さんがポツリと言った。
「私もいいね!しないことがあります。いいね!を押すと行かなければならないのかな、と考えてしまう。もちろん応援する気はあるんですけどね」
そうか、そうなんだ!
今の人はそういう発想をするんだね。なんとやさしい!  なんと傷つきやすい繊細さ!
でもそれって、何も生まないよ。

 

65歳の僕はそう言いたくなった。

 

■パジャマ姿で往来に出る人はいない

もう一つもFacebookのタブーに関連する。
「政治」を話題にしていいかという話。

 

インタビューの最後にどうしても聞いておかなければ、という感じで高須賀さんが遠慮がちに切り出した。
「最近は安保の話題が・・・・」
日本が集団的自衛権の範囲をどこまで広げるかというのは、身近で重要な話。そのことをFacebookで語る人がいてもなんの不思議もない。

 

でも、コトはそういうことではないらしい。
「安保法案のことを書いている人で、『彼は安保に反対してるから、友達から外した』なんていう投稿あるんです」
なるほど、聞きたいことは何となくわかる。

パジャマでは

パジャマ姿で往来に出るのはまずい

 

僕の答えは一つしかない。
「先ほども話したように、『パジャマを着て往来を歩く人はいない』ということに尽きるんじゃないかな」

 

”パジャマで往来”とはこういうことだ。
タイムラインで書いていると「自分の部屋」で書いているように錯覚する。でも書いたことは「友達」のニュースフィードに表示される。だからFacebookで書くという行為は、往来でメガホンを持って叫んでいるようなもの。ソーシャルメディアで書く以上、自分のいる場所は天下の往来であり、パジャマ姿では様にならないくらいわかっていようよ──、とまあ、こんな感じの話をした。

 

政治的な発言がよいとか悪いとか、そんなことは大きなお世話である。実名だから、交流の場だからと、意見や利害の対立があるような話は控えよう、というのはいかにも「日本人的な気配り」だが、私にとってはまったく意味不明にしか聞こえない。

 

ソーシャルメディアは現実社会と同じだ。
立ち話にタブーなぞあるはずがない。

 

ただし、「ソーシャルメディア」はその名の通り「メディア」でもある。
この点、ソーシャルメディアの立ち話はそこだけでは終わらない。極端に言えば、(小なりといえども)テレビやラジオ、雑誌と同じ機能がある。タブーはないけれど、メディアの中で好き勝手にしやべり、書くという人はあまりいないことを思い出してほしい。
「過激な発言」も、たいていの場合、計算に基づいている(橋下徹氏のような計算違いがたまに起きるにしても)。

 

どんな奇人変人でもパジャマでテレビに出演したりはしない。それが自制というものだ。
右であれ左であれ、保守であろうとリベラルだろうと、環境派だろうと、自分の信条をソーシャルメディアで述べることにはなんの問題もない。
なんの問題もないが、「私はそういう人である」と触れて回っていることだけは承知していないとまずい。

 

それに、「安保に反対だから、賛成だから、もう友達じゃない」みたいな発言は、政治信条を語ることとは違う。人間性や常識をわきまえているかどうかの問題だ。この話をFacebookで読んで、「気持ちがいい」と思う人はあまりいないのではないか。言わずもがななのだ。主義主張はともかく、それによって人を選別するような振る舞いは独りよがりである。勝手にひとりでよがっているなら実害がないが、それを人に宣言するのはデリカシーに欠ける。立派なスーツを着ているつもりでパジャマだった、よりももっと滑稽だ。

 

■「惜しみなく応援」が友達甲斐だ

2つの話、実は共通している。
ソーシャルメディアにおける気配りとは、という問題だ。
さっきイベントの話をした。
僕なら気軽にいいね!すると思う。
さらに、(共感できるイベントなら)「友達を招待」という機能を使って、たとえ自分が参加できないイベントでも、「こんなイベントがあるみたいですよ、よかったら参加を」という感じで”招待状”を送るだろう。

 

なぜなら人は、イベントを告知するとき(少しオーバーな言い方だが)狂わしいほどに「友達に来てほしい」と願っているからだ。無名の庶民の私たちにできることはソーシャルメディアを使うこと、そこでわずかでもクチコミを起きるよう願うこと・・・・、と、まことにささやかな望みを持つことしかできない。それにこたえるのが男前、友達甲斐というものではないか。

 

「政治の話はタブー」は大人の常識の問題。
政治だからダメ、商売だからダメと話題を限定する空気には同調できない。
特に僕やあなたのように、大人年齢に達している新高齢者はこういう”世間の常識”をうのみにすべきではない。

 

どんな話題でもタブーはなしだ。
どれほど微妙でヤバイ話であっても、どう語っていいか悪いかは見当がつく。私たちはそれくらいの生き方はしてきている。
ネット社会は若い人たちの専売特許、などと考えるとしたらそれは錯覚だ。
ワープロの出始め、パソコンが「98(キューハチ)」と言われた時代に真っ先にそれに飛びついたのは僕ら世代である。
いま20代、30代の彼ら、彼女らではない。

 

パソコン黎明期を地ならししたと威張っても、僕はいまだにキーボードはかな漢字変換であり、キーボードは右手は中指、左手は人差し指の”1本流”で通している。
ブラインドタッチでなくても、考える速度で文字を打ち込むのになんの痛痒も感じない。それに、ソーシャルメディアに必要なのは技術でも、打ち込むスピードでもない。

 

知恵である。常識である。判断力であり、発想である。勇気である。
僕はなかなか利口になれないが、10代、20代より少しは知恵がついた。
40代、50代より「自分中心教」を離れて人の話を聞けるようになった。

 

「こいつ、ちょっと気に入らないから」「癇(かん)に障るから」というだけで「ブロック」を連発して、居心地よい自分の”居場所”で悦に入るような幼稚さからも、少しは脱皮した。
今や天下御免の横丁の隠居のようである。
私が例外なのではない。新高齢者の中に一筋縄でいかない人物はごまんといる。そんな私たちのような世代の者に、「Facebookはこうやるものです」「これをやってはいけません」「こんなこと書いたら嫌われます」などという助言はまったく無用である。

 

■おもしろくなきFacebookに活を!

と書けばずいぶんな意地っ張りに聞こえそうだが、言わせてもらえば、日本の今のFacebookはまったくおもしろくない。
若い人たち、現役世代はいろいろ差しさわりがあるのかもしれない。それでペットの話、ランチの話、お酒の話に終始しているとしたら、なんと知恵のない・・・・と思ってしまう。

 

天下御免のわれら新高齢者がそんなことに同調してもらっては困る。
言いにくいことをズバリと言えるのが横丁のオヤジというものである。
なにしろ、私たちが切り開いてきたから今のネット社会があるのである。
もっとFacebookをおもしろいものにしてやろう。
生臭いことをどんどん書いてやろう。
生臭い話をシャレて書ける(一歩引いて冷静に書く)というのが大人たる私たちの流儀だ。

 

黙っていては、培ってきた知恵やノウハウは消えていくのみ。
私たちは無駄に生きてきたのではなかった。
他の世代と同様、懸命に日本づくりを担ってきたのだ。

 

どう語り、どう表現すれば伝わるかの分別を私たちは持ち合わせている。
硬軟自在にソーシャルメディアを表現の場にしよう。
自分の生活を楽しみつつ、異なる世代ともつながっていく。
また楽しからずや、ではないか。

ジャーナリスト石川秀樹

■■電本カリスマ.com■■■

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