★ケータイ「解約金」撤廃こそ本丸だ! SIMロック解除だけでは足りない

SIMロック解除
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けさ(6/28)の日経新聞朝刊1面に興味深い記事が載っている。
<携帯各社 端末換えず変更>と言うのである。
通信会社(キャリア)は端末内のSIMカードにロックを掛けている。
これにより端末は事実上、キャリア専用になっているわけだが、
そのロック解除を義務付け、乗換自由にさせようというわけだ。

 

賛成である。
これで競争原理が働くようになれば、殿様商売のキャリアたちも
少しはユーザーサービスをまじめに考えるようになるかもしれない。
と、ここまでは朗報には違いないのだが・・・・・。

 

20140628日経

2014年6月28日の日経新聞朝刊。総務省がCIMカードロック解除を打ち出した

 

そもそもユーザーは、法外な利用料金を毎月払わされている。
その結果、ソフトバンクの2013年度営業利益は1兆円を超えた!
異常な利益である。
これをまともな水準に変えさせるには、
実はSIMカードロック解除だけでは足りない。

 

■2年縛りの「特別料金」というまやかし

5月に携帯・スマホの「解約金拒否の論理」を書いた。
解約金」という思いがけない事態に遭遇して初めて
通信大手キャリアの戦略(というよりだましの手口)を認識した。

 

①本来の通信料金を超割高に設定する
②一方で、比較的割安な「特別料金」を2年契約で設定
※単に“割安”であって、安いわけではない。
③2年後、1か月だけ「解約月」を設ける
④それを過ぎると自動的に契約更新となりまた“2年縛り”に
⑤解約月以外での解約は「解約金(違約金)」9500円を徴収

⑥これにより各社は顧客を完全に囲い込みおいしい汁を吸う

 

ユーザーの大半は「解約月」など忘れている。
だから機種変更やキャリア変更をしたい場合、
悔しい二者択一をしなければならない。
ばかばかしい違約金を払うか、「変更」自体をあきらめるか。

 

こんな商法は公序良俗に反している。
反していることは明白だが、ユーザーはなにもできない。
だから「管轄官庁である総務省は何をしているのか」と書いた。
そんな折、思いがけない切り口でキャリアの牽制を始めた、
というのがきょうの記事である。

 

考えてみれば、同じiPhone(やスマートフォン)なのに
各キャリア「専用端末」になっているのはおかしな話だった。
『そうか、SIMカードにロックを掛けてあったのか』
知らないと、いいように稼がれてしまう。

 

▼SIMカード スマートフォンなどのモバイル端末に入っている電話番号など利用者の情報を書き込んだICカード。発行した通信会社の通信網につながるようになる。
本来は異なる通信会社のカードに差し替えても同じ端末が使えるはずだが、国内の携帯各社はそれができないように端末に制限を掛けている。これをSIMロックと呼ぶ。(以上は日経新聞の用語解説から)

 

■SIMロックが解けても「解約金」問題は残る

総務省はユーザーの強い味方? 白馬の騎士?
ではないかもしれないが(基本的には業界と癒着している)
<目にあまる>という感覚はあったのだろう。
同省の有識者懇談会が30日に行う中間とりまとめに盛り込む。

 

これで一歩前進、と言いたいところだが油断は禁物だ。
「解約金」の問題はひとつも解決していないからだ。
SIMが自由化すれば物理的には乗り換え自由となって競争促進になる。
しかし乗り換える際には「一定の手数料」を支払わなければならない。
同時に、解約月以外なら「解約金(違約金)」も取られる。
これでは“泥棒に追い銭”で、なんの節約にもなりゃしない。

 

■「普通料金」に換えてもキャリアに痛みはない

そもそも携帯端末をホイホイ変えるのは、
メーカーとキャリアの買い替え戦略に乗せられているといえる。
しかし私なんか白状しなければならないが、
新機種が出ると矢も楯もたまらなく買い替えたくなる。
麻薬みたいなもので脳に刷り込まれた快楽欲求だ。

 

そこに「解約金」である。
一瞬、我に返る。
そこで引き返せれば上首尾だが、止められれば余計にほしくなる。
これらはみんなキャリアの“計算通り”だろう。
時期を見計らって乗換キャンペーンを行い、
キャッシュバックで釣って欲望をいっそう駆き立てる。

 

元を返せば、「特別料金」などという設定が大きなまやかしである。
特別料金が99%占めていても1兆円の利益を出す。
「特別」が「普通の料金」になってもキャリアは痛くもかゆくもない。
解約金によって得られる利益はせいぜい数十億円。
売上高6兆666億円の0.054%にすぎない。

 

解約金に手を付けなければ「まぬけ」である

今すぐにでも「特別」を「普通」の料金に換えられるが、
これをしないのは解約金を設けていた方が囲い込みしやすいからだ。

 

だから、総務省がSIMカードロックを外させるのは前進だが、
解約金の問題に手を付けないのはまぬけである。
有識者懇談会にこの問題を深く認識してもらい
さらなる提言を盛り込んでもらいたい。

 

こんなことを書いているので、
私の「端末変えたい病」もだいぶ冷めてきた。
当てにならない「有識者」を頼るより、ユーザー1人ひとりが
端末切り替え時期を先延ばししてキャリア間の競争をあおる。
乗り換えキャンペーンなんかに乗らず、向こうを焦らせ、
「普通の料金に直せ」とジャブを出し続けることが肝要だ。

 

なんと言ってもソーシャルメディア時代なのだから。
私たちはいつまでも「ひ弱で発言力なき大衆」ではない。
言い続ければ“巨人”にもいつか亀裂が入る。
ガリバーを気づかせるのは私たちだ。

 

■この記事を書いて14か月後、事態は動き始めてきました

★解約金拒否の論理、総務省が英断!「2年縛り」がストップするぞ !!

 

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 ジャーナリスト石川秀樹>■■電本カリスマ.com

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