★アピール力不足をFacebookのせいにされても困る! マスコミと同じ発想じゃダメ

自分のワクワクドキドキを伝えなければ誰も共感しない
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「Facebookでアピールしてもぜんぜん効果が上がらない」という人がいる。

 

先日、静岡市内のNPO法人に「Facebookの講習会」を頼まれた。
二つ返事でお引き受けすべきところ、ちょっと注文を付けさせてもらった。
ちょうどそのころ「情報の大切さ」を考えていたところだったからだ。
「熱心に聴いてくれる人だけ、集めてください」

 

■漫然と聞く人、お断り

いま思うと、気の毒な注文だったかもしれない。
先方はただ広報・宣伝にFacebookを活かしたかっただけだろうから。
ところが、なまじその難しさを知っているので先回りしてしまった。

 

Facebookは甘い姿勢で取り組むと効果が出ない。
でも講習会を受講する人は「気楽に」聞きに来る。
命がけなんて人はまずいない。
まして「無料の講習会」であってみれば。
それで、少しばかりハードルを高くしたいと考えた。

 

おかげで担当者は、余計な苦労をすることになった。
はじめはNPO関係者だけでなく「一般公募」も考えたようだった。
<公募ねぇ>僕はぞっとした。
今どきFacebookの無料講習会に来る人は・・・・・。
ばかにしているのではないですよ、ゼッタイに。

 

はじめは誰だって初心者だ。
しかし意欲や情報感度ということを考えると、期待はできない。
どんな期待かと言えば、「熱心にやってくれるかな」という期待である。
せっかく時間を割いて話すのだから、1人や2人、
のめりこむようにFacebookをやる人が出てきてほしい。
それが話し手名利というものであろう。
そこが「期待できない」・・・・・。

 

■一時の熱気薄れたFacebookの周辺

担当者は賢明なことに、公募を決断する前に、朝活仲間に感触を聞いてくれた。
反応は「薄かった」そうだ。

「メンバーは成功している方たちばかりという事もあって・・・・」
と担当者はすまなそうに言う。
その回答とは――

 

①広報としてFacebookを使いこなせている
②Facebookはプライベートで使用しているだけ
③それだけの手間は(Facebookではなく)本業に掛ける

 

なるほど、ぜんぜんお呼びじゃないみたいだ。
が、興味深い結果だ。
今のFacebook事情を端的に表している。

 

①の「Facebookを使いこなしている」という人は相当な勉強家だ。
こういう人は、Facebookに先行するブログ、メルマガ、ツイッターなど、
ネットやソーシャルメディアでなんとか活路を、と実践してきた人が多い。
手間も暇も、そして時にはお金(マネー)をかけて勉強する。
「今さら人から学ぶこともない」と思って当然だ。

 

一方、②Facebookはプライベートのみ、という人もよい割り切りだ。
③の「手間は本業に掛ける」も正論で文句の付けようがない。
(もっとも、中にはこんな人もいた。
「お金は出すから代わりに書いてほしい」と。
たまにこういう人がいると、私は肩をすくめるしかない。)

 

Facebookの熱狂はとうに過ぎている、らしい。
なるほどなるほど、日本ではFacebookもただの流行だったんだね。
そう思うと、「趣味=Facebook」と答える私としては寂しくなる。

 

Facebookはもう終わっているのか、落日なのか。
この点、商売に使えるとばかり大はしゃぎしたごく初期の
著者やセミナー講師たちの罪は大きかったと言わざるを得ない。
まじめな一般ユーザーを翻弄して“アレルギー”を植え付けてしまったのだから。

 

■「クチコミ効果あり=広報力がある」はまったくの誤解

この話を始めると長くなるので、別の機会に譲る。
きょうはFacebook講習会がどうなったかという話だ。
実はその後、担当者とお会いした。
会って、問題の本質がすぐにわかった。

 

NPOを運営している理事たちは、Facebookは広報に使えると信じ込んでいる。
担当の彼は私とのやりとりを通じて「それほど単純じゃない」ことを理解している。
この状況でNPOに乗り込んで、幹部の面々にFacebookのことを
一から説明して理解してもらうというのは相当難しそうだ。

 

多くの人が誤解しているが、Facebookは広報(PR)ツールではない。
かと言って、クチコミ効果がないわけでもない。
リアル社会よりクチコミ効果が大きければPR効果は高いじゃないか―――
みなそのように考えて「Facebookはビジネスに使える」と大騒ぎしたわけだ。

 

では、成功事例があるのだろうか。
Facebookを使って販売促進に成功したか。
無名のスモールビジネスが恩恵を受けたか。
成功するのはファン数が数十万の有名ページのみ。
もともと知名度があり、PRにカネも企画力も投入できるビッグたち。

 

自分のワクワクドキドキを伝えなければ誰も共感しない

自分のワクワクドキドキを伝えなければ誰も共感しない

 

■アピールしたければ自分のワクワクを伝える

今回の場合、清水のNPOは上記の「スモールビジネス」に相当する。
地方の、あまり名が知られていないまじめなNPO。
これを広報する手立てはあるのだろうか。
もちろん、ある!

 

まず、運営者自身がワクワクドキドキすることだ。
さまざまなセミナーを運営し、時にはイベントも企画する。
それらを心の底から楽しんでやること。

 

Facebookと関係ないじゃないかだって?
そう、関係ない。
自分たちがワクワクドキドキしていないものを、
Facebookの情報発信力に背負わせて「結果を出してくれ」なんて、
そりゃあ無茶だ!!

 

もっと具体的に言おうか。
例えばいろいろな地域にある“まちのお祭り”。
当事者は役割を決めて準備に奔走する。
リーダーはありとあらゆるところに気を配る。
補佐役や若い衆にもそれぞれ役割が。
もしここに、人を呼び集めたければ、
Facebookで各人が自分がやっていることを本音で語ればいい。
つらいこと、大変なこと、不安があり、仲間との共感がある、
形が少しずつ見えてくれば喜びが湧き上がる、
そんなこんなを経て、いよいよあしたは本番・・・・・。
こうした過程のすべてを、(1人ではなく)みんなが語れば、
祭りを見に行きたくなる人は必ず現れるだろう。

 

■なぜマスメディアと同じ発想をするのだろう

イベントを仕掛けるのも同じだ。
あるいは店の繁盛も同じ。
自分を見せず、自分の熱意や、時には空回り、不安を見せることもなく
「何々やるから来てください」と結果だけ求めても誰も共感しない。

 

イベントには手間も暇も、時にはお金も掛かる。
主催者は1人でも多くの人に来てもらいたいから「広報」を考える。
その広報手段に今の時代、Facebookを考えても的外れではない。
でも、その使い方(発想)がマスメディアと同じなのだ。
これでは効果が出ない。

 

新聞やテレビで報じれば
「いつ、どこどこで、こんなことをやります」という形になる。
チラシも、行政の広報誌も、あるいはDMも同じだ。
私たちのように小さなメディア(fbはメディアですよ!)が
今までと同じ、「マス」たちと同じ伝え方をしてどうするのだろう。

 

本音を伝え、相手の心に訴えるのだ。
イベントの意義やおもしろさを自分の言葉で伝える。
本気を見せる。
泥臭くてもそれが個メディアのやり方ではないだろうか。

 

■成功のカギは「自分を変える」だ

Facebookで広報することは、かくもめんどくさい。
お金を掛けるコマーシャルとはここが違う。
しかし、次のことも聞いてほしいのだ。

 

CMをナメないでもらいたい。
CMはプロたちが創っている。
莫大なカネと時間を掛けて、消費者心理を読み込み、
何度も何度も試行錯誤を重ね、やっとここまで洗練されてきた。

 

そういうマスマーケティングに比べてFacebookはアマチュアだ。
お金を惜しみ、手間も暇も掛けず、経験もない。
プロの仕事の安易な模倣をして
自分を裸にすることさえちゅうちょする。

 

そういう訴え掛けに誰が振り向いてくれるだろうか。
Facebookはマスマーケティングに勝つ必要はない。
まったく別のアプローチが必要だ、と言っているのだ。
マスメディアにはできない芸当が、
共感してくれる少数の人の心をつかむ。
それこそが、そしてそれだけがFacebookの強みだ。

 

もし清水のNPOが本気なら、新しいことにぜひ取り組んでほしい。
成功のカギは自分が変わる、自分を変える、だ。
自分自身が夢中になって人に(自分の活動を)話したくなること。
そうなればFacebookは大きな力を発揮してくれる。
<よきこと、よい思い、本気、夢中>
を広げてくれるのがFacebookの得意技なのだから。

 

というわけでNPOでの講習会はひとまず棚上げにしてもらった。

ジャーナリスト石川秀樹

 

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