★ニュースフィードを一変させるFacebookのエンジン | アルゴリズムを語ろう②

アルゴリズムって何だ
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Facebookのアルゴリズムとは何か?ニュースフィードを私たちの多くはハイライト表示で見る。興味がありそうな記事を優先的に表示してくれるからだ。しかしFacebookは「私の興味をひきそうな記事」をどうやって見分けているのだろう。その役割を担っているのが「アルゴリズム」である。

 

アルゴリズムという言葉の説明はこちらが詳しい。

アルゴリズム(英: algorithm)とは、数学、コンピューティング、言語学、あるいは関連する分野において、問題を解くための手順を定式化した形で表現したものを言う。「算法」と訳されることもある。・・・・コンピュータにアルゴリズムを指示するための(電子)文書をプログラムという。人間より速く大量に正しい結果を導くことができるのがコンピュータの強みであるが、そのためにはプログラムは正しく効率的なアルゴリズムに基づくことが必要である。   (by Wikipedia)

 

■どの投稿を表示するか最適化

Facebookに則して「アルゴリズム」をもう少し具体的に説明しよう。
Facebookをやっていて不思議に思うことがないだろうか。何人も友達がいるのに、特定の友達の投稿がニュースフィードに頻繁に登場する。一方、友達全員の投稿が読めるかというとそうでもないようだ。影の薄い友達もいる、まったく投稿が表示されない友達さえ。

 

こうした“不公平な扱い”を、Facebookでは「ユーザー最適化」と言っている。読みたい、見たいと思っている記事をそのユーザーに合わせて届ける。
Facebookの創業の目的は「現実の知り合いをFacebookを通してもっと親しくさせる」である。不特定多数の投稿やニュースを大量に読む、ということを目的にしていない。友達が考えていることや動静を確実に伝え相手のことをより深く理解できるようにすること、これが目的だ。Facebookのアルゴリズムはそのためにこそある。

 

■精緻なGoogleのアルゴリズム

Facebookのアルゴリズムはある意味、まことにお節介だ。
しかしこうしたお節介はFacebookの専売特許というわけではない。例えばGoogleの検索だ。「スマホ 新機種 価格」と検索語を入れれば各社の新型スマートフォンの比較サイトがズラリと並ぶ。「iPhone6 使い方」と入力すれば、使い方や設定法などを教えるサイトが瞬時に示される。どんな検索語を打ち込んでもあまり的外れな一覧にならない。私たちはこういうことを不思議だと思わず「当たり前」に受け止めている。しかしここまで来るにはGoogleのとてつもない企業努力があった。Googleの検索もまたアルゴリズムによってユーザー最適化を研ぎすまして来ているのである。

 

Google検索の目的は「検索をする人の役に立つコンテンツを的確にその人に提供する」ことにある。そのためにGoogleは200以上のランキング要素を持ち、それに基づく細かいルールを数千以上も決めていると言われる。インターネットに情報が殺到している時代、検索されるサイトの側から言えば「検索上位にサイトが登場するかどうか」は文字通り死活問題になる。それで検索エンジン最適化(SEO)の必要が叫ばれ、知恵比べが始まった。Googleのアルゴリズムのクセを見つけ、先回りして上位表示を狙う。Googleを出し抜くさまざまな手が編み出された。Googleからすれば「役に立たないゴミみたいなサイト」を上位表示すればユーザーの期待を裏切ってしまう。だから時にアルゴリズムの大変革を行ってゴミサイトを劇的に排除した。

 

「アルゴリズム=表示ルール」と言っていいと思う。
そのルールを変えることで“上位の顔ぶれ”はまったく変わってしまう。Googleは今まで3回ほど大きなアルゴリズム変更を行っている。細かい変更は日常的にもやっている。その結果、今ではコンテンツの独自性や優劣まで理解できるようになってきた。わかりやすく役に立ち、独自性のあるコンテンツが上位に表示される。文字通り「コンテンツの時代」をGoogleは自らのアルゴリズムによって創り出しているのである。

 

■投稿の質と「友達」を重視のFacebook

ちょっとGoogleをほめ過ぎてしまったが、Facebookのアルゴリズムもそこを狙っている。Facebookの場合は単に「質の高い記事(コンテンツ)」だけではない。その記事を「それを求めている友達に確実に届ける」のがアルゴリズムの役割だ。Googleの場合は検索するすべての人の快適のために、Facebookは「関係性の強い友達」のために、である。だから“記事の価値”はFacebookの場合、友達の評価によって変わる。評価された記事は(まるでご褒美みたいに)多くのFacebookユーザーに広がっていく。これがFacebookのアルゴリズムの根本原則である。

 

こうした原理原則をもちながら、Facebookもまたアルゴリズムを何度も何度も変更してきた。
FacebookもGoogleに劣らないくらいさまざまの表示ルールをもっている。そのルールを少し変えただけで、ユーザーのニュースフィードは大きく変わる。見た目が変わるわけではないが、実は表示される記事は前の人は一変している。アルゴリズムこそが影のエンジンだ。

 

Facebookのアルゴリズム

Facebookのアルゴリズムは精密機械の中の“見えないけれど超強力なエンジン”みたいなものだ

 

今年話題になっているのは今年5月、6月に矢継ぎ早に行った改編だ。5月には「Facebookページの記事の表示頻度を下げ、親しい友達の記事を優先する」ように変えた。6月には「“投稿の閲覧時間”を記事評価の要素の1つに加える」変更を行った。いいね!、コメントが少なくても、じっくり読まれた記事は価値が高いと判断するようになったわけだ。

 

Facebookはこれらの改編を大々的に告げたりはしない。特に日本では。だからユーザーはたいていの場合、ニュースフィードの表示に現れる変化を知らない。敏感な人のみが『あれっ?』と思いながら、次第に変化に慣れて「変化したこと」自体を忘れてしまうか、知らずに終わる。事実、Facebookのアルゴリズム変更はGoogleのアルゴリズム変更ほど大きな話題にならない。Facebookユーザーは「個人」が主体だから、ということもあるが、元々「アルゴリズム」を意識して使っている人などほとんどいないからだろう。

 

確かにFacebookのアルゴリズムなんて知らなくても困りはしない。
よく知ったところで、直ちにいいね!が増えたり友達申請が急増するわけでもない。Google検索のようにSEOに精通すれば明らかにコンテンツが上位表示されビジネスに貢献する、というような実利的な効果が「Facebookのアルゴリズム研究」にはないかもしれない。それでも私は、このテーマにみなさんの関心をひきたい。Facebookは現代ビジネスパーソンにとって必須の情報技術である、と思うからだ。そしてFacebookの真髄はアルゴリズムの中にある。

 

■Facebookの本質はアルゴリズムの中にある

もう1点言っておきたいことは、Facebookは生涯つきあってもいいソーシャルメディアではないか、ということである。
ネットの世界は変化が激しく加速していくばかりだ。ソーシャルメディアも初期のブログ、mixiから始まって、ツイッター、Facebook、Google+、LINEやGree(グリー)など変遷は激しい。スピードが速すぎて、ややもすると一過性の流行に終わってしまいかねない。

 

そうした中で私は、Facebookは“特別なもの”と思っている。
続けていくと「わたし」という人間が立ち上がっていく。ブランディングなどという大げさなものではなく、個性が自然ににじみ出てくるのだ。その「個性」は現実と同じかもしれないし、極端に違う場合もあるだろう。それでいいと思う。使う人によってFacebookの持つ意味合いは変わって来る。いずれにしても、ソーシャルメディアの中で一個の人格を持つということは、かなりスゴイことなのではないか。

 

スターたちと同じように、たとえその輪は小さくても「わたし」は輪の中心にいて人々と交流している。得難い体験だ。この体験を「重い」と感じるなら、Facebookのことをもう少し知ってもいいのではないか。商品を売りたい、会社の名を高めたいと、Facebookにいきなり実利や即効性を求めてもあまり成功しない。しかし交流を長く続けていると「わたし」はリアルな世界と並行してFacebookの中に確固とした立ち位置を持つようになり、それは(なんらかの)チャンス、成功につながっていく。

 

アルゴリズムを知ることはFacebookをより深く知ることに通じる。
難しい、退屈、無関係と思わず、少しでもいいから関心を持ってもらえればうれしい。

 

また今回もFacebookのアルゴリズムの具体的な説明に入れなかった。
次回は「エッジランク」を中心に“Facebook流”とは何か、について解説する。

 

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ジャーナリスト石川秀樹>■■電本カリスマ.com

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