はくれんの ひらくとくもり そめにけり
(星野麥丘人・ほしの はくきゅうじん)
この時期のハクモクレンを見ると、いつもこの句が浮かぶ。
句の深い意味は知らない。
<そういえば、この花を見上げるときはいつも曇りだ>
と思うのである。
20年も前になろうか。
毎朝、クルマで会社に向かっていた。
梅は終わり桜はまだのこの季節、あまり好きではない。
なんだか底冷えするような日ばかりが印象に残っている。
長男の高校受験が控えていた。
祈るような気持ちで合格を祈念していた。
神仏は信仰しないのに、この当時、なんにでも祈った。
木蓮の下を通ればやはり祈った。
少し病弱だったので思い入れが強かったのだろう。
結果的にはうまくいかなかった。
木の精を頼みにしたところで、向こうの方が迷惑だったと思う。
この一事をもって「ハクモクレン」は縁起が悪いといえば、
手前勝手が過ぎるというものだ。
でもこの花を見ると、いつもこのことが思い出された。
ふだんは「縁起を担ぐなんてどこまで自己中心の世界観か」と、
人にけっこう強い口調でしゃらくさいことをいっているのに。
そんなことがあっても長男は立派に自立したし、何が不利益というわけでもない。
それなのに、この花にこうまで邪険なのは・・・・。
当時、息子以外に鬱屈をかかえていた自分のせいだ。
不惑を過ぎても、いつもじりじりとして落ち着かなかった。
だからハクレンを透かして見る空は、決まって曇っていたのだ。
今、あの頃と少し似ているのかもしれない。
なつかしく思い出すのではなくて、もっと生々しい。
成功を渇望しているのだろう。
年齢も、自分の意識以上にしっかり意識している。
ハクモクレンの花言葉を調べてみた。
「自然への愛」と「持続性」だそうだ。
後者の方がしっくり来る。
「持続する志」と言えば、今の気分にピッタリだ。
もうひとつ、木蓮の花はツボミが必ず北を向くそうだ。
それで別名「コンパス・フラワー」。
なるほどねェ、その気になって見るときょうの花たちは
雄々しく青い空を指している。
春遠からじ。
気持ち次第だね。
feel so good!(うん、悪くない)
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