契約自動更新には要注意!
一定期間「無料」、それ以降は「有料で自動継続」というビジネス方式がある。優良企業もたちの悪い会社もその手の“サービス”を行っている。名のある会社だから大丈夫、というわけでもないので私の体験を披露する。
批判記事なので最初に会社名を上げておく。
会計ソフトの弥生株式会社である。
これも先にお断わりしておくと、私は「弥生会計」というソフトのファンだ。使ってみて、経理がずぶの素人の私でも株式会社の決算処理ができたほど親切ですぐれたソフトだと思う。しかし今回のビジネス設計には首をかしげる。
■苦情メールに「回答はしない」の門前払い
指摘したいのは『やよいの白色申告 オンライン』だ。
オンライン契約は離脱・解除の自由がなければ合格点ではない。
その観点から見ると、100点満点の7点くらいだと感じだ。
解約方法が自力ではとうとう見つけられなかったのである。
友人の私塾の確定申告を頼まれて安請け合いしたのだが、実は困った。
白色申告か青色申告か迷い、迷っていろいろネット検索しているうちに『白色申告 オンライン』にたどりついた。折しもキャンペーンだそうで、平成26年度は無料で使える!それですぐに登録した次第。結局申告は青色ですることにしたのでこのソフトは使わなかった。
きょうメールを整理しているときに弥生からのメールを見て、登録しっぱなしだったことを思い出した。「自動更新だから止めておかないとヤバイ」(翌年度から年4500円の有料サービスになる)。
「オンライン」のページにログインして契約解除法を探したが見つからない。
やむなく「Q&A」に付属していたメールで問い合わせることにした。
縷々(るる)書いた。
で「送信」のボタンを押そうとした瞬間、こんな文言が目に入った。
解除方法を知るために書いたのだから当然、返信を当てにしている。
長々と書いたのに「個別の返信はいたしません」と高飛車なお断りだ。
「Q&A」はユーザーの疑問、質問に回答するためのもの。
質問は会社側が考えてつくるから、ユーザーからすれば隔靴掻痒(かっかそうよう)の回答になることが多いのだが、いきなり「個別返信」を断られてしまった。それで以下の文言を追加した――
※時間を割いて書いているのは御社の対応の改善に役立ててもらうためではなく、切実に問題を解決したいがためです。このメール欄、御社のような発想だと、利用者の反感を買うだけだと思います。こういうページを設ける以上、(客というのは元来不案内で、いろいろ訳の分からない面倒なことを言う)面倒な人たちに決まっているけれど、きちんと対応しようという覚悟をもって開設しなければまずいんじゃないですか?めんどくさいからただ聞き置きます、聴いたふりすれば優良な企業に見えるだろう――というのは、顧客をなめていますな。
嫌味を言い、さらに「担当者が自己判断で捨て置かず上司に相談するように」とまで書いたのだが、私の経験上、こうした苦情メールが上に届けられ回答があった試しはない。
それで今度は電話を探した。
カスタマーセンターが見つかった。自動音声で返してくるのはまあ、仕方がない。じっと我慢して「用件に該当する番号」を入力。ようやく人間の声が聞けた。
■やむなく「弥生」に電話、解約方法を聞き出す
事情を説明すると、なんと「オンラインサービス」については別部署だそうだ。
転送されるとよく電話が切れる。(やり直しはばかばかしいので)こちらの電話番号を告げて、折り返してくれるよう頼んだ。
2時間後、係の女性から電話があった。
やはり「解約方法」はあるらしい(当たり前ではあるが)。
▼まず弥生のユーザーのマイページにログイン(ソフト内から「解約」はできないらしい)
▼3番目の「オンラインサービス契約管理メニュー」の「利用サービス一覧」をクリック。
これが契約解除の“入り口”だったとは・・・・
▼切り替わったページで「白色申告オンライン」を探す。
▼さらに「詳細・変更」ボタンをクリック
▼すると次のような画面に切り替わる。
実はこのページ、電話を掛ける前にいろいろページを探し、緑色の変更ボタンをいちいち押して「解約」「解除」の文言が出て来ないか探したのだ。
ムダだった。というより“灯台下暗し”というのか、見方が雑だったのか・・・・
上から6行目、赤い矢印で示した個所にひっそりと文字リンクがあるではないか!
これが「解約の入り口」だったとは。まったく気がつかなかった。
▼「サービス解約ご希望の方はこちら」のリンクをクリック。
■Facebook完全退会の“ペテン”を思い出した!
こうした“解約”の仕方には既視感(デジャブ)がある。
あの実名登録のSNS「Facebook」の完全退会だ。詳しくは↓コチラを見てほしいが
(参考)★Facebookから完全退会だ! アカウントを完全削除する法
Facebookの場合は“退会手続きの入り口”が「ヘルプ」にあった。
つまり解約方法が分からずユーザーが「ヘルプ」を調べない限り分からない仕組み。
ヘルプの指示に従って延々と遠回りをさせられた挙句、「アカウントを削除」の項目にたどり着く。長々とした説明文。それを読んでいくと5行目にこんな文言が出てくる。
アカウントを復元できないように完全に削除する場合は、アカウントにログインしてFacebookにご連絡ください。
「Facebookにご連絡ください」の文言にだけリンクが張られている。
文言自体が意味不明。『ここまで付き合わされて、またFacebookに連絡かよ!』とほとんどキレかけながら、試しにリンクをクリックした。するとそこに「解除ボタン」があるではないか。
『なんたるペテン・・・・』
あきれたのはそればかりでなく、解除ボタンを押してもすぐにはアカウント完全削除には至らず「なお2週間はサーバーからユーザーのデータを削除しない」という規約になっていたことだ!
■企業はユーザーの不用意につけこむ
Facebookの例でわかるように、解除ボタンに行きつく動線をわかりにくくするのは、ゼッタイに解約させたくない企業がやりがちな姑息な“逃げ道”である(解約できなくはないですよ、「方法はあります」というアリバイ工作)。
100点満点のうち「7点」を呈したのは「解除への動線がなくはなかった」「私が慎重に探せば見つけられたかもしれない」というかすかな確率を考えて「零点ではない」と考え直した結果だ。
無料で客を誘導し、期限後は自動更新で有料化というのは悪質商人や詐欺師たちがよく使う手だ。
天下の弥生(株)がそこまで悪質だとは思っていない。ただし、このやり方はいただけない。
あらためて「利用サービス契約内容詳細・変更(上の写真)」を読み直すと、末尾に
「次回ご契約内容」が載っている。
私が「解約」というアクション起こしていなければ、間違いなくこの契約は生きてしまっただろう。
「オンラインには登録したが「次回」など契約した覚えはない」と抗議しても、そこはそれ
登録に際しては「規約」を読み「了承」のチェックを押して登録しただろうからこちらの負け。
まともな企業であってもオンライン契約ではユーザーの不用意につけこむ、これが現実だ。
契約の自動更新はユーザーの便宜の上でも「あった方がいい」場合もあって一律の批判はできないが、今回のケースは「次回ご契約」の上に「契約を継続する」「更新しない」の2つのボタンを設置しておくべきだ。
こうした配慮を怠ると、今回登録したユーザーの2割~4割は「勝手に契約更新された」と強い怒りを感じることになるだろう。
その時点で弥生は決断を迫られる。規約を楯につっぱねるか、解約に応じるか。
登録をこのような仕組みにしたのは、弥生が不慣れだったからではないだろう。
「自動継続」にしておけば3割、4割“お客様”(この場合は“カモ”)を余計に獲得できる。
(「自動解約」の設定では無料顧客の大半が有料化時点で逃げ出すかもしれない)
うかつな客からせしめるのは、オンラインビジネスのうまみと言っていい。
しかし優良企業がやるべき手ではない。
何%かの売り上げ増と引き換えに、大切なノレンに傷をつけてしまう。
弥生株式会社がこの辺の道理を理解してくれることを切に願っている。
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