人生には時どき、思いがけないことが起きる。
乗り切ってから振り返ると”春の珍事”程度の出来事なのだが、
私はあわて、狼狽し、悩み、試行錯誤したが、心は折れなかった。
自作のブログが突然クラッシュしたのは3月31日のことだった。
■WordPressを使いブログを自作
ちょうど1年前に、3年間お世話になったアメブロから卒業し、WordPressを使ってブログを自作した。64歳。htmlやcssの知識も特になかった。
それでも「ブログを作ろう」と思ったのはビジネスに必要だったからだ。
そういう実利的な側面以上に、「WordPress」がおもしろそうにも見えた。
ワープロ感覚で本当にサイトを構築できるものか・・・・??
書店に行き参考書を買い、その日のうちにドメインを取得しサーバーも借りた。
悪戦苦闘したけれど、なんとかこのブログをつくりあげた。
大事な大事な虎の子である。ところが一瞬のうちにそれは崩れた。
WordPressを使ってなぜ私のような素人がサイトを造れるかというと、
[テーマ]という卓抜な仕組みがあるからだ。
人は服を着る。着る服はその人の”個性”を表わす。ブログも同じだ。書いたものがたまっていくだけではつまらない。そこでサイトの外観が必要になる。その外観をつくってくれるのがこの場合の「テーマ」である。
「テーマ」はいってみれば着せ替え人形で、それを使えば誰でもサイトを造れる。
しかし、もろい。難しい仕組みはすべてブラックボックスに入れ見なくても済むようにできている。私はそれを享受していたわけだった。
このブログは「Twenty Fifteen」というWordPress備え付けのテーマを使っている。
他のテーマに切り替えると、一瞬のうちにブログの外観(レイアウト)は変わる。
しかし、これまで「テーマ」切り替えを行ったことはない。
頭では「できる」とわかっているが、そんなことをして、サイトが崩れてしまったら??
とてもそんな”大冒険”をする気にはなれなかった。
実際に今回、プラグインとの相性一つでサイトはクラッシュした。
プラグインもブラックボックスのひとつだ。
WordPressは、プラグインを利用すれば素人でも高度な機能を使える。
ただしそれでサイトが不調になっても、私のような者にはお手上げになる。
ずっとそういうことを恐れ、難しいことは避けてきた。触らぬ神に祟りなし。
■プラグインと相性が悪く・・・・
ところが今回、ちょっと欲が出て、不用意にあるプラグインを使った。
すると、一瞬のうちにこうなった!!
私は舞い上がっていた―――
実は、ブログに初めて広告を導入した。Google AdSenseである。
わずかな金額にすぎないが、1円も稼ぎ出さない文章が”富”を生み出してくれる。
私にはそれが、アクセス数以外の”新たな価値”に思えた。
それでまたぞろ数字を上げたくなった(調子が良くなると私は数字好きになる)。
閲読環境を改善しよう、第一にやるべきは「コンテンツの表示速度」の高速化だ。
それでネットで調べて「Head Cleaner」というプラグインを見つけ、インストールした。
※「Head Cleaner」についてはリンクを参照。素人には難しいプラグインだったようです。
このプラグインを紹介していた「バズ部」というサイトは、ちゃんと「使っているテーマと相性が合うか実験環境で試すように」と注釈している。それを私は甘く見た。
プラグインを有効化してサイトを表示させてみると、外観が完全に崩れていた。
あわててプラグインを無効化したのだが、1度崩れたサイトは元に戻らなかった。
<どうしよう・・・・・・・・>
知識のある人なら、何行かhtmlの余計な指示を削れば元に戻せたと思うが、私にはさっぱりわからない。途方に暮れた。泣きたくなった。
月間ページビュー(PV)がようやく6万を超えるようになって、「さあ、これから」と、俄然やる気と欲が出てきたときだったのだ。浮かれていて罰が当たったのだろう。
>2ページに続く⇒⇒⇒
■新しい「テーマ」を使いサイト復活
今できることはなんだろう。書いてきた文章は残っている。崩れたのは外観・・・・。
最悪の場合、記事をコピペして他に移し、改めてサイトをつくり直せばいい。
どうせなら「テーマ」も変えてみたい・・・・。
そう思ったのでブログの管理ページに戻って「外観」から「テーマ」をたぐってみた。
そうそう、これこれ。
何度も見かけているのだが、決して使おうとは思わなかった「テーマ」がそこに在る。
よく見るとそれぞれのテーマには「ライブプレビュー」と「有効化」ボタンが付いている。
試しにページの先頭にあった「Twenty Fifteen」の「ライブプレビュー」を押してみた。
<崩れた表示にはなるだろうけど>
とんでもなかった。
すっきりしたデザインが現れたのである。
崩れてはいない。
現在のテーマ「BizVektor」もテーマのページにあったので、こちらもプレビュー。
やはりサイトデザインは完全に壊れている。でも、「Twenty Fifteen」は完ぺきだ。
ということは”悪夢”の元凶のように思っていたプラグイン「Head Cleaner」も、テーマ次第では使え、むしろ崩れてしまった「BizVektor」は特別に相性が悪いのかもしれない。
「Twenty Fifteenには使える、ゼッタイ使えるはずだ」と思った。
ちゅうちょなく「Twenty Fifteen」に戻って「有効化」ボタンを押す。
現れた。想像通りだ。なんと美しい、シンプルなデザインだろう!
デザインが気に入って使い続けてきた「BizVektor」がダサく見えた(現金なものだ)。
気をよくして「Twenty」シリーズを全部試してみる。
(デフォルトで「2015」「2014」「2013」「2012」と揃っている)
こうなればもっと「テーマ」を試したい。
以前から気になっていた検索エンジン対策(SEO)に強いといわれる「Stinger3」というテーマもダウンロードし、表示させたりした。
あっという間に、私は”自由”を手に入れた。
■「検索」からの流入がパタっと止まる!
雨降って地固まるだねぇ、と愉快になってきた。
でも、私は甘い。ほんとうに。
とんだしくじりをやらかした。
「検索」からの流入がパタッと止まったのである。
?????? 途方に暮れた・・・・・・・・。
私のブログを読んでくれる人は月に延べ6万人。
その8割強がGoogleやYahoo!で何らかの言葉を検索し、たまたま私のブログを見つけて訪問してくれる。したがってリピーターと新規訪問を比べれば、いつも「新規」が8割を超えている。こういう自分のサイトの特徴を私は「当然」と思っていた。
とんでもない。それは奇跡のようなことだったのだ!
テーマを変えたら(その時はそう思った)検索からの流入がほぼ完ぺきに消えた。
実数で1日1000人近くあった訪問者が2、3人に。
目を疑った。信じられない。
“服装”は変わっても同じURLなんだぜ?! なぜだ!!!
SEOをゼロからやり直さなければいけないのか?
2日間、理由はまったくわからなかった。呆然とした。悲しくなった。
なんだか白けてしまった。
でも気持ちを入れ替えた。
<1年でここまで来たんだ。やり直せばいい>
「ゼロから」と書いたが、この1年間で学んだことは多い。決してゼロではない。
半年で取り戻せるのではないか、と思った。
■パーマリンク設定に問題が?
翌日、サイトクラッシュに際して自分がやったことをあらためて振り返ってみた。
テーマを決めた後、そういえば『これを機に、パーマリンクも変えてみるか』
そんなことも思いついたのだった。
これもネットで検索しての思い付き。SEOの一環のつもりだった。
「パーマリンクの設定」は検索結果に大きな影響を及ぼす、といわれている。
WordPressでは表記の仕方が6つあって、ユーザーが選択できる。
写真を拡大しないとわかりにくいが、それまで私は「投稿名」でURLをつくっていた。
それを「カスタム構造」に変えてみた。
『どうせクラッシュしたんだから、心機一転!』のつもり・・・・。
どうやらこれがいけなかったらしい。
でも、不思議だ。既存のURLが変わけではなかった。それなのに検索ロボットには見えない? わけがわからない。しかし”異変”は私のブログで起きたのだ。元に戻すしかない。
設定を元に戻して、翌日にはアクセスが戻ってきた。
やれやれ、生きた心地がしなかった。
考えてみればわがブログ、いつだってこういうぜい弱性を抱えている。
なにしろ一皮むけば、サイトの内側のことは何もわからないのだから。
>3ページに続く⇒⇒⇒
■今度は「いいね!」数がリセットされた!
反省めいた弁を心のうちで反芻しながら、その下の根も乾かぬうちに、
またしても私はやってしまった。
今度は、記事への「いいね!」が消えた!! きれいさっぱり「ゼロ」になった。
プラグインを使ってFacebookやツイッターのボタンを設置していた。
中には1000いいね!を獲得した記事も2、3あった。
すべて水の泡に・・・・・。
サイトの外観が崩れた以上のショック。
いくつ「いいね!」され、どんなにリツイートされようと、1円の儲けにもならない。
しかし確実に書き続けることのモチベーションにはなっていた。
消えた理由は、WordPressのテーマとして例の「Stinger3」を使ったことにある。
注意書きに「日本語URLは好きではないので、自動的に切り替える」とあった。
別に? それが何か?! 気にも止めなかった。
(「既存のURLはそのまま」と、ここでも勝手に解釈していた)
「Stinger3」切り替えても、その時には変化を感じなかった。
しかし翌日、サイトを立ち上げてあ然とした。
すべてのページがこんな具合になっていた。
タイトルが自動的に拾われてできた「日本語URL」が消え「post***(数字)」に。
その結果、自分にとっての”書いいきた成果”が無に帰していたのである。
正直、青ざめた。
ミスの結果だとしても、あまりにひどい・・・・。
■心を試された”事件”の頻発
いやー、人生、いろいろ学ばせてくれますなぁ。
悔やんでも仕方ない。
それに、シェアやいいね!は消えても、記事の価値が消えたわけではない。
今後一切、検索されないということでもないだろう。
懸命に自分の気持ちを立て直す。
でも頭に来て、テーマ「Stiger3」はただちにやめ、「Twenty Fifteen」に戻した。
URLは元に戻らない。数字もゼロのままだ。
気にしないことにした。
※その後、試しにURLにタイトル名を入れたところ、数字が回復した記事もあった。
タイトルはしばしば変えたので、戻らない記事もある。数字にこだわる気も最近は薄くなった。
以上、この春ささいなミスから私のブログは揺れ動いた。
しかし結果として、学ぶことも多かった。
テーマ切り替えへの恐れは消えたし、URLの価値にも気づかされた。
そして何より、今自分が享受していることが「当たり前」ではないことを知った。
人生には思いがけないことが時おり起こる。
これからも不測の事態はきっと起きるだろう。
しかしいつだって、ここに帰ってきたい。
「ずっと書き続ける」気持ちが強くあることを再確認できたのが、
今回の”事件”で得られた一番の収穫だったかもしれない。
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