★画像検索で過去調べなんて“就活神話”だ! 学生諸君、企業はそんなにバカじゃない

就活神話に惑わされずに
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企業の採用担当者はFacebookを見ている、学生時代のヤンチャな記事は早めに始末しておきましょう――なんて、就活神話ではないのか!?
おびえすぎだ、学生諸君。会社はそれほどバカじゃない !!

 

採用選考まもなく開始。そんな7月末のきょう、たまたまFacebookで「あるジャーナリストのツイート記事」のシェアに出合った。

 

学生さんの写真を撮る時、「撮っていい?」「ネットに載せていい?」と尋ねる。彼らの就職に差し障りがあってはならないからだ。
学生さんが履歴書(エントリーシート)に付けた写真を、企業はグーグルの画像検索にかける。政治的なデモ集会に参加していたら、隠していても検索にかかるそうだ。 2015/6/28 ツイッター

 

■「画像検索」であなたの行動はバレない!

この記事は7月29日現在で1213人がリツイートしている。
信じたのだろう。“ありそうな話”ではある。
でも私は信じない。<明らかにおかしい>と思ったので“実験”してみた。自分のを含め何枚か顔写真を用意してGoogleで画像検索。結果、わかったことは案の定、こんな感じだ。

 

人物写真を画像検索

人物写真をGoogle画像検索にかけると「類似画像」の人物写真がズラリと出てくる。
腹が立つほどまったく私とは似ていない。画像検索の「精度」はこんなものであろう

 

どうだろう、集会の写真は出てくるだろうか? 集合写真、あるいは似た人物が写ったスナップが表示されるか?
それは無理なのだ。いかに高度に研ぎ澄まされた頭脳集団、Googleが用意した「画像検索」でも、顔写真から集合写真の中の一人物をピックアップするような芸当はソフトウェアの能力を超えている。

 

いやいや、こうは考えられないか? 政治集会やデモの写真を企業が持っていて、その中から比較的顔がよくわかる人物を顔写真にして画像検索する。そして「類似の画像」をエントリーした学生の写真と比べてみる。
かなりばかばかしい作業だ。“問題の”集会やデモの定義はなんだろう。いま国会周辺を騒然とさせている集団安保反対の集会やデモだろうか。

 

そうだとしても考えてほしい。テレビや新聞が参加人物が特定できるような映像や写真を公開するだろうか。
「いやいや、このジャーナリストはだからこそ『撮っていいか』『載せていいか』聞いているではないか」ごもっとも。で、企業はたまたま見たこのジャーナリストの写真を切り抜くか何かしておいてGoogle画像検索にかける? なんとも念の入った話だ。
「画像検索」という目新しい神話に惑わされてはいけない!

 

■もっともらしい就活神話に右往左往するな!

こういうことは起こらない、と私は思っている。理由は2つ。

  1. Google画像検索にそのような能力はない。
  2. 企業はそこまでバカではない。

 

2.については、異論のある方もいるであろう。
上に挙げたようなバカバカしい作業をまじめにやっている会社があるとすれば、そういう頭の悪い会社はとうてい現在の競争市場に勝てないだろう。だから学生さん自身が「入社したい会社」の候補から外せばよろしい。でも、実際にはそんな愚かな会社は滅多にない。
いたずらに疑心暗鬼を生ませるお話しは、冒頭に挙げたように“就活神話”なのだ。
事実を確認した時だけ心配すればよろしい!

 

会社がエラクなり――つまり「会社」は現代社会における最大のコミュニティであり、そこからドロップアウトしようものなら“上の階級には2度と這い上がれない”と多くの人が思っているという意味で会社はエライ――、卒業後正社員になれなければ人生が閉ざされたように感じてしまうから、何もかもとりあえず会社に合わせようとする。誰かが「会社はこうだ」と言えば、真偽を確かめることもなくそれをうのみにする。

 

「エントリー写真をGoogle画像検索にかける」というのも、そんな類の“就活神話”だと私は思う。その発言がジャーナリストのものだったから、いささか面食らったが。

 

■採用担当者さん、集会参加=即アウトですか?

ここからは私個人の感想である。
「感想」ではあるが、私自身が新聞社で採用担当を何年も経験しているので、ただのヤマ勘ではないことをお断りしておく。

 

企業の就職担当者で、エントリー学生の学生時代のFacebookを閲覧する人がいることは事実だ。これは日本に限らない。実名のSNSだから利用して当然である。私たちも(採用活動に限らず)人に会うときに、事前に相手のFacebookをチェックすることはよくある。少しでも相手の人となりの手がかりを得たいからだ。

 

だから就活の時期よりはるか以前に、過去のFacebook投稿を精査して捨てるべき記事は捨てるという学生がいても不思議ではない。そんなことは採用担当者も百も承知。その上で私が担当者なら、“にじみ出てくる個性”がないかじっとタイムラインを読み込む。交友関係もヒントの1つとしてチェックする。
ここまでやれば面接で知り得る以上の(つまりリアルな印象以上の)イメージがある程度はつかめる。(あくまで“ある程度”だ)

 

で今回話題になった「政治集会」だ。就活学生のFacebookで何か政治的なアクティビティを“発見”したら私は、その学生を『不用意なやつ』と思うだろうか。ぜんぜん思わない。前後を読んでその人の(1つのテーマに対する)考え方、感じ方がわかれば、私は『知ってよかった』と思うだろう。意見や思想の中身はそれほど問題ではない。しっかりと考えているかどうか、そしてその考えをわが社でどう活かせるかだ。

 

■従順な子羊ばかりでは会社は回らない

ここからは現役の採用担当者にお聞きしたい。
今回テーマにした「Google画像検索で学生がある政治集会に参加していたことが分かった」としたら、それを理由にあなたは採用見合わせに傾くだろうか。そんな人はいない!と言いたいところだが、まあ企業にもいろいろあるから「採用、ノー」という企業はゼロではないのだろうか。
つまり私は「そんなバカはいない」とのど元まで言葉が出かかっている。

 

多くはないはずなのだ。にもかかわらず日本の就活前線の周囲では多くの人が「それは有りだ」と信じ込んでいる。それが、就活神話の最大の誤りであり、悲しむべき誤解だ、と思っている。
もの言うやつは危険だ、考えて行動する者は危ない、素直で従順で人のいうことをきく子羊たちだけが企業が欲する人間だ――と考えている企業がもしあるとすれば、その会社は相当危ない。
だからあらためて採用担当者にお聞きしたいのだ。
そんな学生ばかりを本気で採る気ですか?、と。

 

■神話にビビらず「自分」を語ろう

自分の経験で言えば、できる記者、使える編集者はことごとくクセがあり、扱いづらい、プライドの高い一筋縄でいかない連中だった。たまに大人しい人がいても、すこぶる頑固だった。すべてよき者たちではなかった。しかしその中にちゃんと秩序があり、常識もあり、一方、曲がらない信念もあって、まことにめんどくさい過程を経て、毎日毎晩新聞がつくられていた。

 

何を言いたいかおわかりか?
「採用」で必要なのは“本当のあなた”を隠すことではない、ということ。学生時代に何をしていようとコソコソする必要なし。きちんと自分のやってきたことの(自分にとっての)意義と効果を語れることが大切だ。
むしろ過去の投稿が話題にされるのはチャンスである(話題として話を振られなくても相手は読んでいる、そういう前提で面接に臨む)。“みんなと同じ1人”と思われることの方が、よほどリスクが高い(注目されるチャンスを失う)。

 

この時期、さまざまな不安が語られる。
事実だけを見てほしい(本当に事実か、と考える)。
たいていは根拠のない思い込みであり人からの伝聞だ。
自分のリテラシー、情報技術を磨いてほしい
就活神話なんかに惑わされないで、自信をもって自分を語ろう。

 

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ジャーナリスト石川秀樹>■■電本カリスマ.com

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