「平和な国」といわれる日本で、何かが狂い始めている。
ほんとうだろうか、多摩川の河川敷で殺された中学1年生の事件、
IS(「イスラム国」)の事件を真似したとも報じられている。
容疑の18歳男ら3人を2月27日、神奈川県警が逮捕した。
こんな日に、Facebookのグループに書かれた話を引用するのは気が引けるが、
このような日だからこそ読んでもらいたいエピソードである。
小学生の2人の男の子を育てているお母さんの話―――
家から駐車場に向かう道に、梅の木があります。
ツボミから美しい花が顔を出し、鮮やかなピンクが美しい。
「またお花増えたね…」
子供たちも毎朝、自分よりもうんと背丈のある梅の木を見上げては、
日々の成長を見とどけるが楽しみとなっています。
今朝のこと、私を追い抜いて先に梅の木に着いた子供たち。
なぜか、そこでしゃがみ込んでいました。
どうしたんだろう?
急いで駆け寄ると、梅の木の下に、小さな鳥が横たわっていました。
ついさっきまで息があったのでしょう、眠っているのかなと思うくらい、
毛並みが柔らかく艶めき、今にも動き出し飛んでいきそうな様子でした。
子供たちの隣に腰を下ろし、目を閉じそっと手を合わせました。
ふと見ると、鳥のかたわらに、寄り添うように梅の花びらが……。
まるで、小さな命が天国への旅立つのに、花を添えてくれているかのように見えました。
子供たちは、その鳥の前で涙を流し、手を合わせ、
「聖マリア…アーメン」と学校で教わった御祈りの言葉を、唱えていました。
「マリア様に、お願いしたから、きっと天国へ行けるよね?」
子供たちが目をはらして言いました。
「鳥さん、ひとりで天国まで行けるかな……」
「梅の花が一緒だから、大丈夫だよ」と言うと笑顔になってくれました。
人間も、小さな生き物も草花も同じ。
命は尊い…そう実感した出来事でした。
この話には続きがあった。
その日の午後に起きた出来事を、彼女がコメントに寄せた。
夕方、子供たちを迎えて駐車場に車を止めたとたん、
二人とも車から飛び出し一目散に梅の木の方へ走って行きました。
木の前でカバンの中から何かを取り出し、小鳥のかたわらにそっと置きました。
黄色の折り紙で作った紙飛行機でした。
そしてもうひとつ、白い折り紙で作った鳥。
「鳥さんをこの紙飛行機が天国まで連れてってくれるんだよ。
ひとりでかわいそうだから、白い鳥さんはお友達だよ」
子供たちの心根に、涙が止まりませんでした。
家に帰ってからも小鳥のことが忘れられず、子供たちがテレビを
見ているすきに、走って梅の木のところまで戻りました。
そして木の下に小鳥を埋め、静かに手を合わせました。
帰り道、空を見上げると、キラリと光る星が。
きっと、天国に行けたよね……。
湯川遥菜さんと後藤健二さんがISに惨殺されて以来、日本人は深く傷ついている。
そして今度の”少年”グループの事件だ。
私たちの心の中に、やり場のない怒りと悔しさが渦巻いていないか?
まことに人間の犯す罪、悪意ははかり知れない。
自分と同じ血が流れる生きものがなぜここまで残忍になれるのか。
それが深く心を傷つける。
でも、人間にも違う一面があった。
やさしさも善も人間の一部であると子どもたちが教えてくれた。
ぼんやりと薄暗い霧の中で、一筋の光を見たような気がする。