★少年と小鳥、命をいつくしむ家族の物語

サクラ
Ads by Google




Pocket

 

「平和な国」といわれる日本で、何かが狂い始めている。

ほんとうだろうか、多摩川の河川敷で殺された中学1年生の事件、
IS(「イスラム国」)の事件を真似したとも報じられている。
容疑の18歳男ら3人を2月27日、神奈川県警が逮捕した。

 

こんな日に、Facebookのグループに書かれた話を引用するのは気が引けるが、
このような日だからこそ読んでもらいたいエピソードである。
小学生の2人の男の子を育てているお母さんの話―――

 

家から駐車場に向かう道に、梅の木があります。
ツボミから美しい花が顔を出し、鮮やかなピンクが美しい。
「またお花増えたね…」
子供たちも毎朝、自分よりもうんと背丈のある梅の木を見上げては、
日々の成長を見とどけるが楽しみとなっています。

 

今朝のこと、私を追い抜いて先に梅の木に着いた子供たち。
なぜか、そこでしゃがみ込んでいました。
どうしたんだろう?
急いで駆け寄ると、梅の木の下に、小さな鳥が横たわっていました。
ついさっきまで息があったのでしょう、眠っているのかなと思うくらい、
毛並みが柔らかく艶めき、今にも動き出し飛んでいきそうな様子でした。

 

子供たちの隣に腰を下ろし、目を閉じそっと手を合わせました。
ふと見ると、鳥のかたわらに、寄り添うように梅の花びらが……。
まるで、小さな命が天国への旅立つのに、花を添えてくれているかのように見えました。

 

20150227花と小鳥

駐車場に向かう梅の木の下に、小鳥が眠るように倒れていた

 

子供たちは、その鳥の前で涙を流し、手を合わせ、
「聖マリア…アーメン」と学校で教わった御祈りの言葉を、唱えていました。
「マリア様に、お願いしたから、きっと天国へ行けるよね?」
子供たちが目をはらして言いました。
「鳥さん、ひとりで天国まで行けるかな……」

 

「梅の花が一緒だから、大丈夫だよ」と言うと笑顔になってくれました。
人間も、小さな生き物も草花も同じ。
命は尊い…そう実感した出来事でした。

 

この話には続きがあった。
その日の午後に起きた出来事を、彼女がコメントに寄せた。

 

夕方、子供たちを迎えて駐車場に車を止めたとたん、
二人とも車から飛び出し一目散に梅の木の方へ走って行きました。
木の前でカバンの中から何かを取り出し、小鳥のかたわらにそっと置きました。

 

黄色の折り紙で作った紙飛行機でした。
そしてもうひとつ、白い折り紙で作った鳥。

 

「鳥さんをこの紙飛行機が天国まで連れてってくれるんだよ。
ひとりでかわいそうだから、白い鳥さんはお友達だよ」

 

子供たちの心根に、涙が止まりませんでした。
家に帰ってからも小鳥のことが忘れられず、子供たちがテレビを
見ているすきに、走って梅の木のところまで戻りました。
そして木の下に小鳥を埋め、静かに手を合わせました。

 

帰り道、空を見上げると、キラリと光る星が。
きっと、天国に行けたよね……。

 

湯川遥菜さんと後藤健二さんがISに惨殺されて以来、日本人は深く傷ついている。
そして今度の”少年”グループの事件だ。

 

私たちの心の中に、やり場のない怒りと悔しさが渦巻いていないか?
まことに人間の犯す罪、悪意ははかり知れない。
自分と同じ血が流れる生きものがなぜここまで残忍になれるのか。
それが深く心を傷つける。

 

でも、人間にも違う一面があった。
やさしさも善も人間の一部であると子どもたちが教えてくれた。
ぼんやりと薄暗い霧の中で、一筋の光を見たような気がする。

ジャーナリスト石川秀樹>■■電本カリスマ.com

Ads by Google





…………………………………………