■進化するディズニーのキャラクター
さて、私の目下のメインの仕事は「電本館あるじ」である。
私の電本(電子書籍)ビジネスは、ディズニーに遠く及ばない。
パレードがオリエンタルランド(ディズニーの運営会社)なら、
「電本館」は沿道にわずかな一角を占めているわが陣地。
この人波の万分のいくつかでも呼び込まなければならない。
ディズニーランド、シーとも大成功しているビジネスだ。
2014年3月期決算は売上4,735億円、30周年記念で飛躍した。
1年で来場者は3,130万人、国民の4人に1人だ。
新規顧客が多く、リピーターはさらに多い。
客単価のアップ、ホテル事業も成功し死角なしだ。
30年間、絶えざるイノベーションを図りここまで来た。
「ディズニー」というビジネスに非の打ちどころはないようだ。
だが、子細に観察すると弱点がまっくないわけでもない。
ショップは時代の流れや流行により浮沈がある。
(サファリ関係の店は個性的なのに閑散としていた)
アトラクションも人気に極端な偏りがある。
この辺はマニアが大勢おり、素人論評は控えた方がよさそうだ。
ディズニー成功のカギは間違いなく「進化」だろう。
映画で新しいキャラクターを創る。
そしてヒーローには新しいアトラクションを用意。
一方では“古典”も大事にし、ミッキーはいまだ不滅のキャラ。
「眠れる森の美女」も装いを新たにしそうだ。
■電本(電子書籍)はアナログなビジネスだ
こうしたディズニー商法には舌を巻くばかり。
スモールビジネスには何の参考にもならないと思ったが、
旅の最後「クリッターカントリー」でヒントをもらった。
ここの“超人気”は滝にダイブするスプラッシュ・マウンテン。
でも「わが意を得たり」と手を打ったのはそれではない。
■
カヌーだ!!
名前は「ビーバーブラザーズのカヌー探検」という。
1ダースほどの人で櫂(かい)をこぎミニ湖を1周する。
これが地味ながら一定のお客さんの心をつかんでいる。
ディズニーのアトラクションにはほとんど自ら成す部分がない。
ほとんど機械がやってくれる(人は乗っているだけ)。
カヌーは違う、真逆だ。
全員が息を合わせ、10分間こぎ続けなければ帰ってこれないのだ!
ぜんぜん今風ではない。
前後に2人、先導役が乗る、解説者でありリーダーでもある。
話も肉声、マイクなし、でも巧みだ。
これって人手がいり、コストもかかり効率が悪い。
しかしまあ、実に人間くさい。
それで一定の人が行列するのだろう。
同じ湖では豪華蒸気船の「マークトゥエイン号」も走る。
こちらは3階建てで壮観、大量動員もできて長い人気を誇る。
同じ水がテーマでもブルジョアと貧乏開拓者の違いがある。
この辺がディズニーストーリーの巧みさで、万人を満足させる。
でも、私の胸にズシーンと響いたのはカヌーの方だ。
手間暇も掛かるが元手いらずで、客層を絞ることができる。
電本(電子書籍)は一見、最先端だが
「本を造りたい人」を見つけるというのはアナログそのもの。
編集にも紙の本と同じ時間を掛けるからカヌーに似ている。
その割にというか、だからこそだが、儲けも少ない。
著者発掘が念願だが、スピード感が出てきにくい。
しかしカヌーは妻と探して、ようやく乗ることができた。
個性的、肉体労働、汗をかくが風がさわやか、達成感がある。
だから、探してでも来てくれるお客さま、ファンがいる。
その魅力を人にどうやって伝えていくか、
カヌーを電本(電子出版)に置き換えて。
それこそが社長としての自分の仕事のようである。
パレードや人気アトラクションよりカヌーの方がうちらしい!!
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