★電話詐欺になぜ引っ掛かるのか?! 不安か欲に、つけ込まれるからだ

ペテン師
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昨日、地元のミニFMラジオに出演し、自筆遺言の話をした。
一連のシリーズ、今回のテーマは「ハンコ」だった。
遺言にハンコがなければ無効だが、それだけだと話はすぐに終わってしまう。
それでやや脱線ながら、ハンコ詐欺の話をした。
人の不運につけ込んでハンコを法外な値段で売りつける詐欺もあれば、
ハンコの管理の悪い人、特に老人を標的とする本格的な詐欺もある。

 

詐欺まがい、電話で勧誘の一部始終

放送終了後、たまたまラジオを聴いていた旧友に出会ったのでランチをご一緒した。
あんな話をしたばかりで自然、話題は「だましの手口」に移っていった。
「実は僕は一時期、詐欺の連中に加担していたことがあってね」と共が言う。
聞けば、詐欺ではなく電話で高額受験教材を買わせる商法であったのだけれど。

 

静岡市内に有名進学塾が進出したことがあった。教材はその塾御用達をうたう。
友人は脱サラしたばかり。客も来ないのでアルバイト募集に応じた。
「昼から出勤して夕方までぶらぶら、4時半になると電話を掛けまくる」
静高、城北、市高などの名簿が揃っており、その中から約100人を目標にする。

 

結果は、「まともに聞いてくれるのは30人くらい。この人たちに〇を付ける」。
その時は詳しい話をせずに「手すきの時間に掛け直す」と言っておく。
一通り掛け終わると再電話。ここで初めて教材の話をする。
手ごたえが感じられる人は30人中10人くらいに落ちる。
10人には日を改めて電話し、「今度は直接訪問して説明したい」と押す。
面談にまで至るのがだいたい3人。
おもしろいもので”3分の1の法則”が成り立っている。

 

「僕はわりと向いていたようで月に12件、成約したこともあった」
1成約、報酬は50万円だったという。「いったい教材はいくらなの?」
「国立理系が60万円、国立文系が50万円、私立30万円という感じかな」
獲った分だけ丸々報酬にするところをみると、一たび制約して囲い込めば
なん回り分か稼げるという仕掛けなのだろう。おいしい客なのだ。

ペテン師

電話での勧誘や詐欺にひとはなぜやすやすとだまされるのか?

 

それにしても高額だ。「塾で補習でもしてくれるの?」
「それが塾とは関係なかったんだ。名前だけ。だから詐欺同然だと」
教材はインチキではなかったという。「しかし1人であんなにやりきれない」
友人は「静高はさすがに違う」と妙なところに感心していた。どう違うのか?
「静高の名簿で電話するとお母さんが出て、それから本人に代わるんだ」
そして本人に説明して面談の約束を取り付ける。自宅に趣き高校生に説明。
「制約できたことがなかった。教材をちゃんと見て、これは〇〇〇・・・・」
ダメな理由、自分に向かない理由をきちんと述べて断るのだという。
「16、7の子に大の大人が説得力で負けてしまう」

 

 

■私が電話の勧誘に乗ってしまった! お恥ずかしい限り・・・・

この話からわかることは

  1. 電話勧誘も一定の割合で成功する(受ける側もワキが甘い)
  2. その確率は3分の1の法則が成り立つ
  3. 「今忙しいから」などのあいまいな断りはつけ込まれる
  4. 断固たる断りにはグーの音も出ない(静高生に完敗)

 

私は仕事中に勧誘電話が掛かってくると「営業かね」とまず聞いてみる。
「そうです」と答えれば即座に「忙しいときに何だ!」と断る。
最初に「×」を付けられるイヤな客の典型だ。
これほどおれおれ詐欺が騒がれ、営業電話が迷惑がられる時代だというのに
「まだ電話営業か?」と思う。「なめるのもいい加減にしろ!」、と。

 

今の時代、電話でカネの話が出たらすべて詐欺か詐欺まがい、と思っていい。
と常日頃からそんなことを言っている私が、電話勧誘に引っ掛かったのだ
SEOである。ちょうどその時、検索対策を急がなければと思っていた。
「そこに御社のサイトを電子書籍でトップに引き上げます」という。

 

SEOについては自分でも調べていた。何が必要かも知っている。
そこに若い”あんちゃん”の声。(最近の若い人の言い方は誰も似ている)
そうした中ではまだしも”マニュアル離れ”をした話ができる子だった。
そこで判断が甘くなった? 人にも聞き、ネットでも会社を調べ
『まあ、よかろう』。それで年間50万円の出費だ。

 

詐欺ではない。効果はそれなり。しかし、悔いが残る・・・・・。
なぜかと言えば、SEOは自分でもできたと思うし、第一わがサイト、
「電本館」は今、電子書籍一辺倒から紙の出版に移行しようとしている。
つまり本格的に自費出版を事業化しようとしているのだが、
サイトはそれ向きにはなっていない。説得力がない。
せっかく検索からサイトに来てもらっても多分、乗り気になってもらえない。
<中途半端な時に余計な出費を>と思うのである。

 

■自分の欲と向こうの提案がピタリ合致

そんな折、もっと上手が現れた。こんな誘いだ―――
「SEOの効果はどうですか? 効果ないでしょう? サイトを直しましょうよ」
グサリと来る言葉。タイミングもピッタリだ。
私の今の気分は
<SEOをかけても意味はない。サイト自体に問題がある。なぜうちで自費出版するのが有利か、説明も足りないし、ページの更新も自由にできない。サイトそのものを直さなければ>

 

しかし年間50万円をローンで払っている。これ以上の出費は無理。
すると「ではローンの残り、うちで肩代わりしますよ」。
「えっ? それではお宅にサイト構築を頼むと費用はいくらなの?」
「作るのはゼロ円です。お金は掛かりません」「・・・・???」
あまりにうまい話なので「月々の費用はどうなの?」と聞く。
「月3万円です。現サイトのメンテナンスに毎月いくらか払ってないですか?」
払っているのだ、2万円+消費税。

 

「それって、永久に続くわけですよね。うちは5年間だけです」
それ以降はサーバー賃貸料の月1000円ちょっとだそうだ。
ここに来てグクッと引っ張られた。
サイトそのものをSEOを意識したものに作り替える――合理的だ。
「一度会って、具体的にお話ししましょう」と突っ込まれて我に返った。

 

考えてみれば、SEOの誘いが掛かったのも電話だった。今度も電話。
<電話でカネの話が出ればすべて――>自分で言っていたクセに!
それで回答をいったん保留して、専門家にサイト回収の見積もりを聞いた。
「月3万円で5年だと、計180万円でしょ。おたくのサイトは決済機能が命だから」
そんな金額では作り直しができないのではないか、とのことだった。

 

■静高生の冷静な対応を見習うべし

マーケティングの世界で「ダイレクトマーケティング」が流行したのはしばらく前。
もうとっくにすたれたと思っていたら、詐欺あり、営業の電話あり。
これほど迷惑がられてもすたれないのは、一定の成功法則があるからだ。
<私は引っ掛からない>と思っていたのに、手もなく電話勧誘に乗ってしまった。

 

失敗の理由を消費者、被害者の立場から考えてみよう。
電話で応答してしまったことがすでに相手の術中にはまっている。
そしてこれも昔からよく言われていることだが、
こちら側に「欲」と「不安」のどちらか、または両方あること。

 

高額印鑑詐欺などは、病気や離婚の危機など、不安を増幅させて「安心」で吊る。
おれおれ詐欺もフイを突き、パニックに陥れ不安にさせて理性を奪う。
一方、私の場合は自分の問題意識と向こうの提案がドンピシャリで合ったこと。
言葉を変えれば「現状を何とかしたい」という欲に「回答」を与えられた感じ。

 

静高生はなぜエサを目の前にしながら断ることができたのか。
第一に、自分が求めているものを明確に知っていたということだ。
だから、この商品は「自分の要求を満たさない」と明快に判断できた。
もう1つは、親への愛だろうか。教材代を支払うのは親である。
『この教材で親を損させたら申し訳ない』から答を出せたのだと思う。

 

自分のことなのに少し斜めの位置から事態を見られると客観化できる。
私など大いに見習わなければいけない。
うまい話、おいしい提案にはご用心。ましてそれが電話の勧誘なら、だ!!

ジャーナリスト石川秀樹>■■電本カリスマ.com

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